2015年10月25日日曜日

好きな本

わたしが好きな本を紹介します。


”家のない少女たち 10代家出少女18人の壮絶な性と生/鈴木大介”です。

基本的にわたしはノンフィクションの本が好きで
小5の頃食い入るように読んだアンネの日記にはじまり
活字嫌いだけどそういう本だけは読んできたのですが(歪んだ傾向)、
その中でもこの本は飛びぬけて好きです。

プチ家出が流行った時代、「プチ」という言葉で軽く受け止められていたけれど
中には生きていくために家出を選ばざるをえない家庭環境の子たちがいた。
そんな子たちの戦いが鈴木さんのインタビューによって等身大で描かれた作品です。

女性の性について描かれたノンフィクションていうのは
どこか嘘くささや「こうであるべきだ・こうであるだろう」という書き手に潜む意識を感じるものが少なくないのですが
この本は「ありのままを伝えたい」っていう気持ちをすごく感じるんですね。
女の子たちが家出せざるをえない状況下でもがいているのをそば見ていて、
ひどい境遇の中でそれでも生きようと懸命に生を繋いでいる姿にいろんなものを抱いていて、
助けたいという気持ちもあるけどそれができないのも分かっていて、
ぶれない視点で気取らずに書かれている。
「こんな悲しい家庭が存在する」「こんな社会がある」という事実に驚きながらも
生きる道を探す女の子たちのすがたに、どこか希望を感じる本です。
女の子たちが強く生きていけることを願ってやまない。

この本に他人の不幸を覗いている後味の悪さがないのは
著者の鈴木さんが余分な哀しみや憐れみを全く漂わせず、
ただ彼女たちの声を届けようとしているからなんだと思う。

「犯罪する側の論理」がテーマだ、と彼の著者情報にある。
本当にそのとおりで、外側にいるとその現象だけを捉えがちだけど、
中にいる人はいろんな状況があって、そこに至るわけで。
人それぞれ、生きてきた環境が違うし、今いる世界も違う。
たとえ同じ日本のなかにいても。
それを同じ視点で語って評価するのは無理な話なんだよね。
例えば「売春を悪いことだ」という人がいたとして、
でも中にはそれをしないと生きていけない人がいる。
それを「悪いことだ」というのなら、必ずそれをしないで生きていける社会づくりがセットにならないと
話にならない。
そういうことを、思い知らせてくれる本です。

大学で遊び尽してから就活して仕事してる人と、
家が貧しくて中学出てすぐ働く人は、決して同じ環境じゃない。
ましてや、家出をして売春して生計を立てる女の子ならなおさら。
どっちがいい悪いじゃなくて、語る前に
”事実”としてそれを前提に置くことは必要だよね。

ぜひ読んでみてください。
わたしたちが当たり前と思ってることは
決して当たり前ではないので。

まえがきのこの箇所が彼の気持ちを最も表わしていると気がしてとても好きです。



よん

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