2014年5月5日月曜日

オバチャーン@舞音楽祭 後編

舞音楽祭においてスタッフ陣が一番頭を悩ませたのは演出だ。
完成度の高いステージを見せられないことは、はじめからわかっていた。
それでも、『面白いもの』にしようと彼らは必死に考えていた。

そして使われたのが”自転車”と”CO2”だが、この自転車が難問である。
初めは全員が自転車で現れるくらいのレベルで考えられたが
(大阪のおばちゃんとはいえ)乗れないメンバーもいたこととステージのサイズの問題から
4人に絞られた。

そこでオバチャーンの中で自転車精鋭が決められるわけだが、
まず自転車力に自信を持っている藤本、舟井が選ばれる。
さらに、毎日原付に乗ってると言う脇、比較的自転車に乗るという平李の4人で構成された。

唯一開かれた全体練習の日。
舞音楽祭の2日前、大阪府内のあるスタジオで行われた。
ダンスレッスンに加えて当日の流れを確認する。
立ち位置も改めて細かく決め直されたが、宇口と山本がいなかったため
代わりに偶然居合わせたみかん山プロダクション社長のお孫さん2人が入った。


そこでダンスレッスンをしていくうちに事件が起きる。

ポジションを決めるために立ち位置に派遣された姉妹だったが、
ただ立っているだけではつまらないため徐々にダンスレッスンにも参加し始めたところ
次第にオバチャーンよりダンスが出来るようになってしまったのだ。

未だに完璧に覚えていないオバチャーンもいるダンスを
たかが1日のダンスレッスンで覚えてしまう姉妹。

記憶力とは残酷なものだということを、
わたしたちは改めて思い知らされるのであった…。

とはいえ、オバチャーンとは
その事実は分かっていながらも抗っていかなければならない戦士(アイドル)だ。
そんなことにへこたれている場合ではない。


レッスンが終わると公園に移動し、
自転車精鋭の練習が始まった。
日曜日の昼下がりだったが人目は気にしていられない。

CO2が噴出できるように改造された自転車に乗り、
走れるかをチェックする。
CO2が重いためうまく漕げるか不安だったが、舟井、藤本は楽々クリア。
藤本は初のCO2噴出走行にも成功した。
次いで舟井も噴射したが、近所に買い物に行くかのようなこの表情である。
脇も「自転車に乗るのは何十年ぶりやわ」と言いながら、すらすらと走った。
問題は平李だ。
漕ぐのが弱々しく、まっすぐ走れない。
スタッフの支えでかろうじてクリアできる、といったレベルだった。
でも走れないというほどでもなかったため
「まぁなんとかなるやろ」という気持ちでその日の練習は終了となった。


――――当日、本番2時間前に始められたリハーサル。
「チェンジ」 というプロデューサーの声が響いた。

平李が、自転車をうまく漕げなかったのだ。

「誰か代わりに乗れる人!」と言う声に、
山本が即座に手を挙げた。

「私できます!」

言葉通り、山本は見事な走りを見せた。
それは普段仕事が忙しいのかなかなかオバチャーンの活動に出られない山本が
はじめて見せた闘志だった。
チャンスはどこにでも落ちている。

平李は、「足がつかない自転車でやったらもうどうやって漕ぐのかわからなくなってしまった。迷惑かけて、ほんま申し訳ないです」と憔悴していたが、
そこで落ち込んでいる暇もない。
危険があっては困るのだ。
フェス出演が決まったころ、身体能力に長けている竹峰(70)がダイブするという案も出ていた。
本人も乗り気で、「私はいつも家のツタを切るために塀を飛び越えている。やりたいです、やらせてください!」と懇願していたが
客が飛ぶ70歳にビビってモーゼの十戒のようになる可能性を考慮し、安全のため断念せざるを得なかった。
今回の自転車も、楽しいステージをするために
安全を最優先しなければならなかった結果なのだ。

出番まで、もう1時間を切った。

ギリギリまでいろんな調整が行われる。
ステージが始まった。




―――大成功に終わったステージ。
楽屋のそばに来て「写真撮ってー!」というお客さんもいた。
悪そうなメンにも大人気だ。


集合がかかり、メンバーが集められる。
プロデューサーからの一言、「最高!」の声。
メンバーは「怒られるん思たわー!」と笑った。

大成功だ。

メンバーも、スタッフも、お客さんも笑顔にするステージだった。

休む間もなく、舟井、宇口、脇はグッズコーナーへ行く。
この日は、オバチャーングッズコーナーが出ていた。
スピンズ×オバチャーンコラボのTシャツ(XLのみ、白・黒)、タオル、
U'sミュージックのタオル、
そしてお馴染み”なにわ小町”さんの出張店舗だ。
オバチャーンの晴れの舞台ということで
通天閣商店街からはるばる舞洲まで来ちゃったのである。
かわいいスピンズコラボTシャツの横には、堂々のリアル虎がいる。

「オバチャーングッズ買うてやー!」
広い広い舞洲で、オバチャーンが叫ぶ。

「ください!!」と言ったのは若い男子。
彼らは揃いでオバチャーンタオルを購入していった。



オバチャーンが音楽フェスに出る。
はじめ訊いたとき不安でいっぱいだったそれが、現実になったとき。
たくさんの問題と直面しながらも、それ以上に笑顔が生まれていた。
彼女たちが持つ力は、まだまだ留まるところを知らない。

”大阪のおばちゃんパワーで世界を平和にする”ということが
もしかしたら不可能ではないのかもしれない、と思った。



おしまい

2014年5月3日土曜日

オバチャーン@舞音楽祭 中編

4月29日15:30。
それはオンタイムで始まった。

『オバレゲエ』にも出演している男肉 du Soleilの
団長とクリ太が観客を煽る。

信じられない光景だった。
人がたくさん詰めかけ、
「オバチャーンを見たいか?」という質問に
「イエーーイ!!」と返ってくる。

オバチャーンが、舞音楽祭で受け入れられている…。

ふたりの「カモン オバチャーーン!!!」の声で現れたのは
自転車に乗った舟井。
自転車!!!??? 
しかも自転車からは謎の煙が出ている。
謎の煙の正体はCO2。
CO2を噴き出し辺りを真っ白にしながら、舞台を駆けていった。

唖然としている暇もなく、藤本、脇、山本と次々に舞台を駆けぬけていく。


しかしCO2がすごすぎて、姿がほとんど認識できない。
開始1分にして、置いていかれそうな急展開だ。
しかし、そのフェスではふつう見られない過度の演出に客席は大盛り上がりである。

これからオバチャーンなりのライブが始まる。


4人が自転車で駆け抜けたあと、全員がステージ上に揃った。
サンバイザーを深々と被り、腕を組んでどっしり構える彼女たち。

束の間の静寂が訪れた。


静寂を切り裂くように、突然猛獣の鳴き声が聞こえる。
「ガオーーーーーーー!!!!!」

その咆哮を合図に、一斉にサンバイザーを観客に向かって投げ捨てる。

男肉 du Soleilが「Let's go!!!!」と叫ぶと、
『オバチャーンのテーマ』が始まった。

先ほどまでの静寂はどこへか、
踊り狂うオバチャーン。
久々に復活した宇口に至ってはどの写真を見てもこの顔である。
どれだけ楽しんでいるかが伝わるだろうか。
全力でパフォーマンスするオバチャーンに観客も応える。
その観客を見て、オバチャーンもテンションが上がる。
オバチャーンとフェスの観客が共鳴し合あうという、
奇跡が起きていた。

ふつう、フェスで60を越えたおばちゃんを見ることはそうそうないだろう。
しかしそのおばちゃんが観に来るどころかステージに出て大暴れし、
たくさんの若者がそれを受け入れ、盛り上がっている。

MCでは舟井の「オバチャーンのことみんな知ってるー?」の声に、
「知ってるーーーー!!!」の声。
中には、スピンズとのコラボ商品のタオルを持ってる人もいた。

もちろん、MCが終われば『オバレゲエ』が始まる。
みんなが曲に合わせて手を振った。
お客さんノリが良すぎるんじゃないかと本気で心配になるほどの
この一体感はなんだろう。

曲終わりではネクストジェネレーションもみんな前へ出てきた。
中でも竹峰はステージのギリギリのところまで出てきて縦横無尽に駆け回る。
キッスも投げ放題だ。
さらにズーム。
たのしそう。

フィニッシュの宇口の「はぁ?」と共に、またCO2が吹き荒れる。

曲が終わってからダメ押しとばかりに、竹峰がCO2噴出機でやんちゃにステージを駆け回って”お掃除”をしていった。




ステージが、終わった。






続く

2014年5月2日金曜日

オバチャーン@舞音楽祭 前編

4月29日(火・昭和の日)。
あれだけ先の出来事だと思っていたあの日が、
とうとう来てしまった。


―――舞音楽祭。


はじめての音楽フェスであること。
はじめてのこんな大規模なステージであること。
リハとしての練習日が1日しかなかったこと。
そこにオバチャーンの爆弾と呼ばれる何をしでかすか分からない宇口が怪我のため参加できなかったこと。
不安要素を上げればキリがなかったが、
実は不安がっているのはわたしだけで
みんなは「なんとかなるやろ!」と笑っていた。

こうやっていつでも笑っていられるのが、オバチャーンの強みである。

天気はあいにくの雨予報だが、
時折止むのが電車から見えた。
JRゆめ咲線に乗って、終点桜島まで向かう。

電車から降りて、舞洲までのアクティブバスへ乗り込もうと改札を出ると
よく知った人が見えた。

オバチャーンだった。
メンバーもアクティブバスで向かうところらしい。
出演者なのに、フェスの来場者たちと混じって並んでいる。
わたしもご一緒させてもらった。
遅刻して後から来たメンバーが挨拶に来ても「ちゃんと後ろに並んでくださいね!」と指導が入る。
「オバチャーンはやっぱマナー守らんなー言われたら困りますんでね!」
うるさいがマナーは守るオバチャーンである。

久しぶりに復活した宇口はというと、
髪がピンクになりバージョンアップしていた。
持ってきた傘のあまりの汚さにみんなにいじられている。
「もう傘の話題から離れてくださいよ傘も生きもんやから!!」
やはり宇口がいると笑いが止まない。



にぎやかなバス車内。
バスの中では新メンバーである高見ととなりになった。
(4/1ワクワクオバチャーン時の高見)
「何をしたらいいかわからないんですよ。」
高見は語る。
「20代は、歌をうたってました。でも30代40代は別の仕事をしていて、
 50になってからみかん山(※オバチャーンが所属するおばちゃん芸能プロダクション)に
 見学に行ったんです。
 私、モノマネをしたくて。
 そしたらオバチャーンに入ることになって…」
どんなアイドルグループでも、そのグループの世界観が完成してしまっていればいるほど
後から入るメンバーは難儀なものである。
もともと高見は”大阪のおばちゃん感”は薄く、上品なお姉さんといっても過言ではない。
彼女がどんなにもともとあるオバチャーンに沿おうとしても、それは無理な話だ。
それならもっとコテコテのひとを連れてきた方がいい。
だからこそ、彼女が入ったオバチャーンは以前のものとは違うオバチャーンであるべきなのだ。
――そのために彼女に何が出来るのか、それはまだ誰も分かっていない。
「今は、勉強中ですね。
 宇口さんに憧れています。」
”勉強中”。
そうはいっても今日この日も、彼女とてオバチャーンとして
舞音楽祭のステージに立たなければいけないのだ。

いろんな思いを乗せて、
アクティブバスはロッジ舞洲へと到着した。

バス停から10分くらいをかけて
わたしたちは雨で足場の悪い道を歩く。
時折まだ怪我が完全に治らない宇口が歩きづらそうにしていたが、
それでも立ち止まらずに歩き続ける。


楽屋のテントは2つ用意されていた。
仏セブン(選抜メンバー)とネクストジェネレーションに分けられ、
それぞれの時間を過ごす。

本番まで、あと3時間。
こんな大舞台の前でも、彼女たちはいつもと変わらない。
藤本はいつも通り、内職の手作りキーホルダー作りに精を出していた。
強いて言うなら奥の化粧がいつもに増して濃かったくらいか。
有田はモノマネ大会に出るらしく、楽屋の端っこでひとりモノマネを練習をしていた。
ちょっとぎょっとした。

雨は強くなったり、少し止んだりを繰り返している。

あと1時間に迫ったとき、
リハーサルが始まった。

あまりに異質な光景だった。
屋外音楽フェスの楽屋の前で、おばちゃんたちがパフォーマンスを練習する…。
あまりに異質すぎて、他の出演者たちもテントから出てきて観ずにはいられない。
みんな、奇妙なこの集団に目を奪われていた。
リハーサルは直前まで行われ、
ギリギリまで演出が練られる。
時には「一緒に写真撮って!」という声にも応じた。
出演者のSKAZIと。
みんな若い男におおはしゃぎだ。


いよいよ、オバチャーンの出番が来る。
「もう時間なので、みなさんステージについてください」



ステージの幕が開ける。




続く

2014年5月1日木曜日

大阪ラブソング

先日FAT COLLEGEのチキンに関する講義のあと
理事長の親戚がやってるカラオケ喫茶に連れてってもらいました。

そして突然歌わされるオバチャーン。


「オバチャーンの取材してます」

「オバチャーン知ってるわ!」

「カラオケに入ってるんですよねー」

「ほな歌ってや!」

みなさん…この会話の流れには気を付けてください。(そうそうない)

はっきり言いましょう
オバチャーンのテーマをですね
一人でカラオケで歌うのは無謀です。


無謀です。


大事なことなので
2回言いました。

いやほんと、なんか物理的にも7人で回してるラップをひとりでやるのは無理だし
精神的にもなんかえぐられます。

だからみんなオバチャーンを歌うときは
周りに布教して洗脳して一緒に歌えるともだちを作ってから
一緒にうたおうね!


そのあとは山口百恵タイムに突入したのですが
やっぱりね。百恵ちゃんは間違いない、話が盛り上がる。




というわけで 
大阪のスナックのママにも認定されたということで
わたくし今後も見た目は中学生☆中身は50歳でやらせてもらおうと思います。




よん