2014年5月2日金曜日

オバチャーン@舞音楽祭 前編

4月29日(火・昭和の日)。
あれだけ先の出来事だと思っていたあの日が、
とうとう来てしまった。


―――舞音楽祭。


はじめての音楽フェスであること。
はじめてのこんな大規模なステージであること。
リハとしての練習日が1日しかなかったこと。
そこにオバチャーンの爆弾と呼ばれる何をしでかすか分からない宇口が怪我のため参加できなかったこと。
不安要素を上げればキリがなかったが、
実は不安がっているのはわたしだけで
みんなは「なんとかなるやろ!」と笑っていた。

こうやっていつでも笑っていられるのが、オバチャーンの強みである。

天気はあいにくの雨予報だが、
時折止むのが電車から見えた。
JRゆめ咲線に乗って、終点桜島まで向かう。

電車から降りて、舞洲までのアクティブバスへ乗り込もうと改札を出ると
よく知った人が見えた。

オバチャーンだった。
メンバーもアクティブバスで向かうところらしい。
出演者なのに、フェスの来場者たちと混じって並んでいる。
わたしもご一緒させてもらった。
遅刻して後から来たメンバーが挨拶に来ても「ちゃんと後ろに並んでくださいね!」と指導が入る。
「オバチャーンはやっぱマナー守らんなー言われたら困りますんでね!」
うるさいがマナーは守るオバチャーンである。

久しぶりに復活した宇口はというと、
髪がピンクになりバージョンアップしていた。
持ってきた傘のあまりの汚さにみんなにいじられている。
「もう傘の話題から離れてくださいよ傘も生きもんやから!!」
やはり宇口がいると笑いが止まない。



にぎやかなバス車内。
バスの中では新メンバーである高見ととなりになった。
(4/1ワクワクオバチャーン時の高見)
「何をしたらいいかわからないんですよ。」
高見は語る。
「20代は、歌をうたってました。でも30代40代は別の仕事をしていて、
 50になってからみかん山(※オバチャーンが所属するおばちゃん芸能プロダクション)に
 見学に行ったんです。
 私、モノマネをしたくて。
 そしたらオバチャーンに入ることになって…」
どんなアイドルグループでも、そのグループの世界観が完成してしまっていればいるほど
後から入るメンバーは難儀なものである。
もともと高見は”大阪のおばちゃん感”は薄く、上品なお姉さんといっても過言ではない。
彼女がどんなにもともとあるオバチャーンに沿おうとしても、それは無理な話だ。
それならもっとコテコテのひとを連れてきた方がいい。
だからこそ、彼女が入ったオバチャーンは以前のものとは違うオバチャーンであるべきなのだ。
――そのために彼女に何が出来るのか、それはまだ誰も分かっていない。
「今は、勉強中ですね。
 宇口さんに憧れています。」
”勉強中”。
そうはいっても今日この日も、彼女とてオバチャーンとして
舞音楽祭のステージに立たなければいけないのだ。

いろんな思いを乗せて、
アクティブバスはロッジ舞洲へと到着した。

バス停から10分くらいをかけて
わたしたちは雨で足場の悪い道を歩く。
時折まだ怪我が完全に治らない宇口が歩きづらそうにしていたが、
それでも立ち止まらずに歩き続ける。


楽屋のテントは2つ用意されていた。
仏セブン(選抜メンバー)とネクストジェネレーションに分けられ、
それぞれの時間を過ごす。

本番まで、あと3時間。
こんな大舞台の前でも、彼女たちはいつもと変わらない。
藤本はいつも通り、内職の手作りキーホルダー作りに精を出していた。
強いて言うなら奥の化粧がいつもに増して濃かったくらいか。
有田はモノマネ大会に出るらしく、楽屋の端っこでひとりモノマネを練習をしていた。
ちょっとぎょっとした。

雨は強くなったり、少し止んだりを繰り返している。

あと1時間に迫ったとき、
リハーサルが始まった。

あまりに異質な光景だった。
屋外音楽フェスの楽屋の前で、おばちゃんたちがパフォーマンスを練習する…。
あまりに異質すぎて、他の出演者たちもテントから出てきて観ずにはいられない。
みんな、奇妙なこの集団に目を奪われていた。
リハーサルは直前まで行われ、
ギリギリまで演出が練られる。
時には「一緒に写真撮って!」という声にも応じた。
出演者のSKAZIと。
みんな若い男におおはしゃぎだ。


いよいよ、オバチャーンの出番が来る。
「もう時間なので、みなさんステージについてください」



ステージの幕が開ける。




続く

0 件のコメント:

コメントを投稿