2014年9月10日水曜日

オバチャーン@スチールの森京都 後編

――――吹雪が吹き荒れるなか、一人の青年が自分の母親を背負い山に登る。
「どこ行くんや!こんな天気の日に!」
母親がいくら話しかけようとも青年は答えない。
戻れそうにない山奥で、青年は母親を下した。
「置いてく気か!あんた!親不孝者め!」
喋り続ける母親。
「おっかぁ…」
青年は少しずつ離れていく。
「ひどい!なんでや!」
「おっかぁ…」
「こんなことして、あんた覚えときや!」
「おっかぁ」
「なんや」
「うるさい!!!!」
あまりにうるさい母親に一言投げ捨てて、青年は山を下りて行った。

ひとり残された母親……
喋れども喋れども、青年は帰ってこない。

そう、なにせ青年の村では70歳を越えるとスチールの森京都に捨てられるというしきたりがあったのだ…

母親が絶望していると、ひとりのおばちゃんがやってきた。
「アンタも捨てられたんか?」
ひとり、またひとりとおばちゃんが集まる。
「こうしちゃおられへん。うちらで世界を変えようやないか!!!!」

こうして集った7人のオバチャーンが、世界を変える―――――


この前代未聞の小芝居「オバ捨て山」が、GOOUTCAMP関西におけるオバチャーンステージの
導入部である。山奥のイベントということで特別に作成された演出だ。

大雨でステージができないことが懸念され、
「挨拶だけでも」というプロデューサーの言葉でステージまで行ったものの、ステージの裏についた時点で
オバチャーンたちにステージをやらないという選択肢はなかった。
当然のように段取りを話し合うオバチャーン。
運営スタッフさんも頑張ってくれて、ステージの準備は完全に整った。

大雨の中で吹雪のSEが響き渡る。


誰もいない中で小芝居を続けていると、驚くことにその音を聞きつけて
観客が集まってきた。
合羽を着ていても濡れてしまうような大雨の中、
徐々に人が集まってくる。
小芝居を経て、『オバチャーンのテーマ』を始める頃には
はじめひとりもいなかったとは思えないほど人が集まっていた。
2番にもなると、踊り始めるほど盛り上がる観客たち。

MCの鉄板「おばちゃんの挨拶(手を出してオバチャーン!と叫ぶ)」でも、
みんなたのしんで参加してくれた。

次はフェスで初披露の『夜道は☆ダンスフロア』。
あまり踊り慣れてないためぐだぐだで観客のほうが振付をつかんでいた疑惑があるレベルだったが、
盛り上がったらすべてよしである。

既にこれだけの人が集まってくれていた。


ラスト『オバレゲエ』では、最大の盛り上がりを見せる。
ちびっこも踊ってくれた。
円になって回り出すひとたちも出現。
誰もが雨のなか、楽しむチャンスを伺っていたのだ。
オバチャーンは今回見事それを提供できた。
合羽を浸透するレベルの雨にもかかわらず、みんなが笑顔だった。

こんなに素晴らしい景色を見れるなんて…

雨のため飴を投げるのは辞める(シャレじゃない)予定だったが、
あまりの盛り上がりに飴投げを決行。
「新生軟式globe見て帰らなー!」といって舞台からハケると、「アンコール!」と声を上げる人までいた。


ステージを降りたオバチャーンたちの心は、満足感でいっぱいだった。
『雨に負けなくてよかった』
みんながそう思った。

逆境だからといって諦めるのではなく、立ち向かって味方につける。
それはオバチャーンの強みだ。
彼女たちは悩みながらも、壁にぶち当たりながらも、
持ち前のポジティブさで乗り越えてきた。
わたしたちより遥かにたくさんのことを経験してきてる彼女たちだからできることがある。

今回は久しぶりにそれを目の当たりにした気がする。

あの日のみんなの笑顔を、これからも大切にしていけたらいいと思う。




オバオタ 米原千賀子

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